人気ブログランキング | 話題のタグを見る

おおかみこどもの雨と雪(ネタバレアリ)

「時をかける少女」「サマーウォーズ」の細田守監督の長編オリジナルアニメーション映画最新作「おおかみこどもの雨と雪」公開初日に観てきました。

おおかみこどもの雨と雪(ネタバレアリ)_d0198868_0101174.jpg もうね…開始5分で泣いてた。その後も映画2時間のうち体感で半分くらいは泣いてたと思います。そりゃね、瞬間的に号泣したり嗚咽を漏らしてしまう事はこれまでも何度かありましたよ(「一命」のお菓子のシーンとか「サニー」のエンディングに入るところとか)。でも、これだけずっと泣かされてた映画は初めてでした。

映画の冒頭は大学生の花がおおかみおとこの彼と出会い、恋に落ち、雨と雪を生むまでが淀みなく映しだされていき、そこに雪のナレーションが入るのですが…回想形式のナレーションってズルイよね。ちょっと「北の国から」を思い出しました。あのドラマもナレーションは五郎さんじゃなくて子供の純でしたね。あと、キツネもクマも菅原文太も出てくるし。

僕は細田監督は観客の感情を気持よく盛り上げるためにちゃんとベタが出来る
ところが魅力だと思っています(ベタというのは王道とかエンターテイメントという言葉に置き換えてもいいんですけど)。もののけ姫以降の宮崎駿監督の鮮烈すぎるイマジネーションについて行けなくなってきてる身にとっては細田監督のベタさが心地いいんですよね…。

で、今回特に過去作と比較しても突出して素晴らしかったのが、映像演出による感情表現でした。ストーリーや台詞に頼らず「絵」で観ている人の情感をゆさぶる力がもの凄かった。

たとえば、雪の話のクライマックス。かって傷を負わせてしまった草平に、自分がおおかみであることを告白するシーン。その時のカーテンを使った演出も素晴らしかったんですが、その後に草平が「(おおかみが雪だったことを)知ってた」というところ。まぁそう言うだろうなと思っていたので、キタキターって感じだったんですが(これぞベタの気持ちよさですよね)。それを言った時の草平の「どんなもんだい!」って感じの二カーって笑顔! この絵でまずブワッと泣かされました。

そしてその後の、雨と花のクライマックス。おおかみとして生きる道を選び山に去っていこうとする雨に花が「私、まだ貴方に何もしてあげてない!」と引き止めようとするシーン。ここでは観てる僕も同じ気持ちというか、雪と比べて雨のことはあまり劇中語られてなかったので、「おいおい待てよ。まだあんまりお前のこと知らないのに退場しちゃうのかよ!」 という感じで観てました。で、花さんは泣いちゃってるし、このままだとバッドエンドだよ、もう映画の残り時間もあんまりないしこっからどう逆転するの? と思っていたら「アオ~ン」と遠吠え一発ですよ。
 頭の中では「いやいやそんな遠吠え一発なんかでごまかされませんぜ。これじゃ花さんが浮かばれねぇよ」と思うんですが、その時の花さんの「しっかり生きて!」と泣き笑顔で叫んでる映像を観たらもうダメ。さんざ泣いた泣いた言ってきましたが、このシーンは本当に嗚咽漏らして号泣してしまいました。宮崎あおいさんのこの時の演技も最高だったけど、これはもう本当に「絵」の力がハンパなかった!

おおかみこどもの雨と雪(ネタバレアリ)_d0198868_1251172.jpg









しっかり生きて!!

「時をかける少女」の時に大林宣彦監督が細田監督のことを「映画の血が繋がっている息子よ」と言ったそうなんですが、さすが先見の明があるというか、今なら腑に落ちます。大林監督の『この空の花』を観た時も話は何が何だか分からないけど、最後の花火の「絵」でなんだかわからないカタルシスにやられて号泣してしまったんですよね。

とまぁ、基本的には大絶賛の立ち場なんですが、気になったところもあるにはあるのでちょっと書いておきたいと思います。
本作はおおかみ人間がいるという大嘘以外は基本的にリアルなお話を描いているんですが、そのわりには花が最初から都合が良すぎるキャラなんですよね。親もいないし親戚の人たちも出てこない…これって萌えアニメで何故か高校生くらいの主人公が一人暮らししてるような都合の良さと同種のものを感じてしまいます。
そして序盤で出てくる子供の泣き声がうるさいと怒るアパートの住人や、大家、児童相談所の役人など、花にストレスを与える人間たちはもの凄くベタで定型的なカキワリみたいな人物に描かれている。観客の気持ちを盛り上げるためのベタはいいと書いたけど、話をただ進めるためのベタは手抜きに思えてしまう。
田舎に移り住んでからも、サブやモブキャラの扱いには少し疑問を感じた。
たとえば草平の母。草平が雪に、母は再婚して新しく子供が出来たのでもう自分のことは迎えにも来ない。なんて言ってたがそんな事あるだろうか? 雪も「あんなに真剣に心配してたのに」と突っ込んでいたがまさに。草平の思い過ごしと思いたいがその後のフォローがないのでそのままだ。
そして、韮崎のおじさんを筆頭に花家族を気にかけていた村の人たちもクライマックス近くになるとほとんど話にからんでこない。これがジブリだったら、雨を探す時に村人たちが協力する展開になるんだろうなと思った。

ただ、あくまで花、雨、雪にフォーカスを絞った作りで、ジブリやピクサーアニメのようにモブキャラの話をいちいち拾うようなことはあえてしなかったんだろうなとは思うし、全部やってたら二時間では収まらなかったでしょうね。願わくば、それこそ「北の国から」のように全24話とかにしてダイジェストで飛ばした花と彼の話とかもじっくり見てみたいくらいです。

さて、最後は書き漏らしていた良かったところをつらつらと。
背景画を細かくパーツ分けして動かすという演出。冒頭の花畑もよかったけど、後半の台風で揺れる木々はリアルで素晴らしかった!
ゲロ描写がしっかりしてて良かった。子供の時に飼い犬がゲロ吐いた時、死ぬんじゃないかと本気で心配したことを思い出しました。
by koshibaken | 2012-07-24 02:42 | 映画


アニメ、映画、ホビー、写真の話題などをつらつらと


by koshibaken

S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

ブログパーツ

検索

以前の記事

2016年 04月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 06月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月

カテゴリ

全体
映画

アニメ
未分類

タグ

最新のトラックバック

フォロー中のブログ

その他のジャンル

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

映画
漫画・アニメ

画像一覧