クリムゾン・ピーク(ネタバレアリ)

 “俺達のトトロ”“世界一のオタキング”こと、ギルレモ・デル・トロ監督の最新作。前作『パシフィック・リム』は
監督の怪獣映画への愛が炸裂した作品でしたが、本作はゴシック・ロマンスへのオマージュ作とのこと。
主演は『アリス・イン・ワンダーランド』『イノセント・ガーデン』のミア・ワシコウスカ。共演にはMCUのロキ役で
人気のトム・ヒドルストン。まるで不憫な弟役を当て込んだかのようなキャステング(今回は兄ではなく姉
ですが)。そしてその姉役に『ゼロ・ダーク・サーティー』等のジェシカ・チャスティン。

 さて、デル・トロ監督の新作はゴシック・ロマンス。幽霊も出てくるホラー物ということで、観る前は監督の
フェティッシュなこだわりが細部まで行き届いた美術セットやクリーチャーが見ものだぞと思って楽しみに
していたのですが(もちろん、実際にそれはそれで凄かったのですが)、冒頭から目を奪われたのは
ミア・ワシコウスカでした。
 個人的に『イノセント・ガーデン』で世界一可愛い仏頂面の持ち主だ!と思ったミアですが、本作でも
惜しげもなく仏頂面を全開。それに加えて、今回の衣装がまぁ素晴らしい! 基本的に肩の部分が提灯
みたいに膨らんでる(これなにか専門用語あるんでしょうか…シルエット的にはギャンです)服で、衣装替え
の回数もめちゃくちゃ多く、そのどれもが超絶可愛かった。本作はまずミア・ワシコウスカのアイドル映画
言っても過言ではないと思ってます。
 
 そして、デル・トロ監督でゴシック・ロマンスといえばすでに『デビルズ・バックボーン(2001)』や
ダークファンタジー『パンズ・ラビリンス(2006)』がありますが、本作がそれらと違うのはコメディ色の強さ
だと感じました。いや、はっきりいって本作はデル・トロ作品の中でも最も笑える作品じゃないですかね?
 前半のアメリカでのシーンでは、アメリカ人たちが昔の欧風貴族のような振る舞いをして暮らしてるのも
滑稽ですし、主人公イーディスが「結婚より仕事よ」と息巻いていたのにあっさりとイギリスからやってきた
トーマス&ルシール姉弟の結婚詐欺にころっとハメられてしまうのもトホホ…w
 舞台がイギリスの屋敷アラデール・ホールに移ってからは更にコメディ色が加速。イーディスとトーマスが
仲良くキスを始めてると、姉ルシールがやってきて紅茶を入れるシーンは思わず吹き出してしまい
ました(紅茶セットで乱暴に机を荒らす具合が最高。ジェシカ・チャスティングッジョブ!)。
 他にもトーマスの亡妻が飼っていた犬が、イーディスに懐いてるのかと思いきや、幽霊が出た時には、
イーディスを置いて凄い勢いで逃げ出すのも笑いましたし、トムヒのケツはまぁ言わずもがなでしたね。
 そしてクライマックスでの、ジェシカ・チャスティンの怪演というか、超ハイテンションなモンスターっぷりに
観てる側の口元は緩みっぱなしでした。

 上でイーディスのことを「結婚詐欺にコロッと騙されて…」と茶化しましたが、最終的にはちゃんと
自分の小説を書き、チャーリー・ハナム演じるアランが助けに来た時も、ヒーローに助けられる
ヒロインではなく、むしろ負傷した彼を助けて屋敷から脱出。最後に出てきた本の著者名が旧姓
のままなので、どうやらアランかと再婚してもいないようなので、最初の宣言通り「恋より仕事」を
選べたようですね。これにはホラー映画のお約束であるファイナルガールの法則に則ったものというより、
やはり最近のハリウッド映画によく見られる「強いヒロイン」の流れにあると感じました。

 ちなみにこの終盤の展開で印象に残ったシーンが2つあります。一つは、ルシールに追われた
イーディスが、地下室の井戸の縁にナイフをいったん置いたシーン。我々観客はこの前のシーンで
井戸からルシールに殺された亡妻の幽霊が出てきた事を知っているので、この後ルシールが
近づいてきた時にそのナイフを使って幽霊が復讐を遂げるのかと予想するところですが、結局
イーディスがナイフをまた手に取り直して逃走。
 もう一つはクライマックスでイーディスがルシールに追い詰められたシーン。ここでは幽霊となった
トーマスがルシールの背後に現れるので、てっきり「姉さんもういいんだ…僕と一緒に行こう」とか言って
ルシールを道連れにして、(彼が作った)粘土堀削機にでも飛び込むのかと思いきや、ただ見てるだけ。
 結局はイーディスが「幽霊は実在する…だが、てめえのとどめをさすのはコレだ!」とばかりにスコップで
ルシールをビンタ&頭部をバチコーンと陥没させるという非常にマッチョなケリをつけてくれました。

 最後まで見ると、本作での幽霊はあくまでメッセンジャーであり、物理的な作用は起こせないと描写
されています。そして、これって幽霊がいなくても成立する話ってことなんですよね。実際、映画のラストは
本が閉じるシーンで終わっていて、そこには「著者:イーディス・カッシング」の文字が書かれてます。つまり、
この映画の幽霊のくだりは全て彼女の作り事かもしれないということ。
 で、ここで思い出すのが、映画の冒頭で自作の小説を売り込みにいったイーディスが、出版社の人間に
「幽霊が出てくる話なんてやめて、普通の恋愛物書いてよ」と言われて憤慨してた件。ここでの彼女は
デル・トロと同じような丸眼鏡をかけていて、まるで監督の分身のように見えることもあって
 「ほら、こういうお話って、そのままやったらただの世間知らずが結婚詐欺に会ってあら大変という、現実に
ありそうな夢の無い話じゃないですか。でも、幽霊が出たらこんなに楽しいことになりますよ」と言いたいがために、
あえて全体のお話自体はベタに構成されてるような気さえしてくるんですよね。
 あたかも戦争下での現実の厳しさからの救いを少女がファンタジーに求めた『パンズ・ラビリンス』のように。

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by koshibaken | 2016-01-15 23:52 | 映画


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